大阪天王寺にあるカフェリノベーションの始まり
古くからある大阪天王寺のカフェは設備の老朽化もあり、そのすべてを一新リノベーションすることになった。この界隈で長年地域に愛されてきた老舗のカフェもその役割を次第に変容させていくことになる。クライアントは生活様式が変わりつつある昨今、未来を据えたデザインを望まれた。
大きな変化は、居る→通う、というテイクアウトへの対応だ。大通りに面した立地条件を見直し、客層を広げ地域密着から可能性ある商圏へのチャレンジでもある。席数を減らし厨房と物販コーナーを広く、従業員の導線の確保、通りからの認知を促すサインの調整等、丁寧なアプローチを図った。
デザインから読み取れる、大阪のカフェリノベーションで店舗の目指すもの
解体後に現れたテクスチャを丁寧に観察して、その活かし方を様々な角度から検討、そんな中グレースケールの空間に白いMORTEXのマテリアルを浮かび上がらせるデザインへと考え付いた。
アイキャッチとして空間の顔に選ばれたペンダント照明はピーターアイビーライトカプセルL 独自に調合された色ガラス(淡いグリーン)の揺らぎが、この空間に絶妙なバランスを生む。
客席側に添えられた照明は、同じくピーターアイビーのペンダントライトS、こちらは同じガラスでも六角形から緩やかに円形へと変化する難しい成型技術を有したシェードで半透明のミラーリング塗料が施されているものだ。空間デザインやプロダクト、その選定こそが店の精神性であり、結果、新しく通りゆく人々の足を止め、味覚へもまたバイアスをかけていく。一連の戦略こそが店と客が目指す方向性を同じくする本来のマーケティングとなり新たなチャレンジに不可欠な思考だと考える。
将来のカフェ空間はアートなのか。
大阪天王寺のカフェリノベーション案件。新しいThecoffeemarkeは素朴で純粋な感覚を持つ空間となった。それはここで働くバリスタやパティシエの感性そのものだ。素材に向き合った脚色ない生菓子、独自に焙煎された鮮度の高いドリップ珈琲といったコンテンツが既存の客または新規の客に新たな体験として心に刺さること期待したい。
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