左官工事でプラスター(漆喰)を使用した大阪のリノベーション事例
今回の案件は、60代の夫婦で住まわれている大阪のマンションリノベーション事例。桃山台から徒歩12分の所にある有名建築家が建てた15戸しかないすべて角部屋というマンションだ。バブルのころには億の値段が付いたとか。玄関やエレベーター回りが贅沢に作られ、優雅な雰囲気に浸れる建物の最上階が現場だ。ネットで見つけて事例集を見るうち品のいいデザインが気に入ったと仰っていた御夫婦から今回ダイニングキッチンと寝室のリニューアルのご相談を頂いた。静かで落ち着いたデザインを希望されたご夫婦にSTUDIOM+は漆喰の素材にオークの造作キッチンを提案した。漆喰はプラスターを使用し大きめ骨材を入れることで印影を強め、スタイロという発泡素材で引くことで少し粗目の表情を持たせた案で、大変興味深くデザインを受け入れてくれた。
スタイロを使った左官仕上げ
栗の大きな無垢テーブルと施主所有のヤコブセンの照明の組み合わせが空間を上品にまとめる。天壁の仕上げは、砂入りプラスターのスタイロ押さえ。プラスターの表情は骨材の量と押さえるまでの乾燥時間で決まる為、2日間現場常駐してその時間を探りながらの仕事になった。プラスターが半乾きのところを鏝で挽き骨材の転がる跡で表情を出す。鏝(こて)には金鏝、木鏝とあるが、より表情を出すには摩擦係数の高いスタイロが都合がいい。熟練の職人だと自前のスタイロ鏝を所有していたりする。
硝子入りの木建具で開放感を+。手前側の天井は、施主の希望で麻での生地現場で糊付けして貼ったものだ。このチャレンジ精神が弊社と引き合わせたのかもしれない。
ベージュに映える橙色
施主所有の家具の色彩に合わせられた赤みに調色したチークのキッチン。梁に塗られたプラスターの迫力が静寂の中に重厚感を与えている。
キッチンと吊戸棚の建具はチークの柾目で木目が横一列に揃えた物を使用した。造作ならではの高級感で美しい。実は壁の色はこの建具の色から決められた。彩度の強い赤茶系の色は中間の明度を持つ無彩色が住宅では相性がいいのだ。キッチンのパネルはミラー、窮屈感なく料理ができるとのことで好評だ。天板は同色系の大判御影石で、暗くなりがちな左官仕上げの空間の差し色となるように考えたものだ。
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