吹き抜け・色彩・外観、賃貸の空室を埋める3つの設計
大阪・宝塚で手がけた賃貸リノベーション3事例。吹き抜けと丸鋼手摺で家賃5.5万円を7万円に上げたBlackLine Apartment、N95ホワイトの色彩計画で空室を埋めた小さな白い家、雨戸を3色に塗り分けて外観を変えたComposite House。それぞれ異なるアプローチで空室対策を実現しました。
賃貸リノベーションには必ずコストの上限があります。分譲住宅のように素材を自由に選べるわけではありません。その制約の中で、どこに投資し、何を削るか。3つの事例から、空室を埋める設計の考え方を整理します。
吹き抜けと手摺で価値を上げる — BlackLine Apartment(家賃5.5万→7万)
豊中・阪大近くのロフト付き賃貸アパート。ロフトの床を解体して吹き抜けを作り、18Φの丸鋼を曲げたオリジナル手摺を空間のアイコンにしました。数字上の面積は減りますが、物件のクオリティは数段上がります。結果、家賃5.5万円から7万円へ約40%の価格上昇で即入居が決まりました。

手摺は既製品で対応するのが普通ですが、ここを一工夫することで空間のアイコンになります。キッチンの重厚な黒に対して軽い黒を演出できるよう、支持部を横や上に取り、鉛直方向への荷重を極力なくすことで生まれたデザインです。
色彩計画で差別化する — 小さな白い家(N95ホワイト)
ロフトを解体して天窓の採光を取り戻し、通常のH2400の天井高では圧迫感で使いにくい、日塗工N95・N93の明度の高いホワイトを採用しました。若い学生をターゲットに、特異的な色彩で差別化を図った事例です。

白い空間に、彩度を固定して色相を変えたグレイッシュトーンの収納BOXと、細い黒いラインを落とし込むことで、レイヤーとして奥行きを与えています。利回り重視の戦略では価格競争から脱却できません。デザインによる優位性が、単価を守り空室率を改善します。

外観を塗り替えて若者を呼ぶ — Composite House(宝塚)

打ち合わせで使ったプレゼン資料のパース。当初撤去予定だった雨戸を、彩度と明度を少しずつ変えた色で塗り分けて再利用する提案で、オーナーに喜ばれた一枚です。
宝塚の文化アパートを大規模改修。当初撤去する予定だった雨戸に、彩度と明度を少しずつ変えた3色を塗って再利用し、乳白のアクリル波板とキシラデコールの杉板を組み合わせました。ローコストでクリエイティビティを演出するために選んだ素材は、杉板、波板、そして色です。

夕暮れ時には、照明によってアクリル素材から漏れる柔らかい光と雨戸の色が建物を照らします。郊外の賃貸物件は競合が少ない分、デザイン性の高い物件としてアプローチすると空室が埋まりやすくなります。この物件のオーナーは、その後他の所有物件のリノベーションも一任されました。

賃貸リノベーションに共通するもの
3つの事例に共通するのは、既製品を並べるのではなく、その物件にしかない一点を作るという姿勢です。吹き抜け、色彩、外観。投資する場所は違っても、内見に訪れた人が扉を開いた瞬間に「ここに住みたい」と直感する空間を目指しています。
賃貸リノベーションは、コストの制約が厳しい分、設計者の判断がそのまま家賃という数字に跳ね返ってきます。STUDIOM+では、大阪・北摂・神戸エリアで、収益性を伴う賃貸リノベーションを手がけています。






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