経年劣化を楽む、大阪の戸建てリノベーション
大阪の南にある和泉市、幹線道路からのどかな田園風景を抜け閑静な住宅街が今回の現場、クライアントはある大手企業の部品製造を手掛けるお方で、築40年、30年前にリフォーム工事し今回が2度目の改修という入母屋造戸建て2階建てに住んでいた。娘の新築をきっかけに我が家も建て替えをという考えだったが、そのコストをリノベーションに充てると一つ上の生活が出来るのではないかと「studiom+」に提案のお話しを頂いた。 築40年というだけあって素材の更新でも十分に生活が変わるのだが、より快適になるよう考案したいくつかの提案が気に入ったようだった。特に、複層ガラスを備えた断熱性能の高い大型木製扉へーべシーベの採用は前面の借景を活かした開放感の有るリビングを可能にした。他にも工事内容は多岐にわたり駐車場の増設や外壁塗装、玄関の周り、間取り変更、増築、その他補修等、完工までにそれなりの日数を要する案件となった。
シームレスな大型木製引き戸ヘーベシーベ
北側は40年前からキッチン(奥側)と物置となっていた和室(手前側)があった場所。リビングは南側の玄関と和室との間にありこの北側の借景のある場所と入れ替えた。通し柱と耐力壁を残し間仕切りを解体して北側へ増築している。耐力壁は梁行き方向はなるべく残し桁行き方向はべた基礎の上外壁を延長し補強している。この壁によって隣の住宅(左側)駐車場(右)からリビングは隠れてしまうためカーテンのいらない環境を可能にした。増築幅は開口の高さ(梁せいから逆算)から最小限度にとどめ庇も逆勾配でリビングからは見えないようにすることで、考えうる最高の開放感を手に入れた。そこで一役を担ったのが大型木製引き戸ヘーベシーベで高気密高断熱を可能する超重量級の大型引き戸だ。もともと隠れていた部分だけあって、ここを訪れた客様の第一声は「いままでここは何の部屋でした?」だそうだ(笑)
豊かさを感じる抜ける空間
キッチンまでの巨大な空間が生まれた。既存の使われてない空間を解体してどれだけ風や光、景色といった生活を豊かにすることができるかがテーマの戸建てリノベーション。新しいリビング空間には暖炉や床暖を設置。寒かった冬の季節も豊かに過ごすことができる。薪置きはスチール製でstudiom+のオリジナルデザイン。
パステルカラーのFLOS製照明
取り除けない壁を利用してFLOS Mod.265 by Paolo Rizzattoをつけている。こちらは限定色でもう手に入れることができないレアもの。ソファはカッシーナ製。高級ブランドソファは羽毛入りで夏でも熱がこもらず年中快適。炬燵が好きだったお父様はここで寝てしまうほどのお気に入りとか。
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快適な暖炉の有る空間
新しく設けられた暖炉は輻射熱でこの大きな空間を快適に暖かくする。右の元々あった掃き出し窓はFIXに変更。
経年劣化を感じる壁
キッチンにあった窓は間接照明付きの飾り棚に変身。壁は錆塗装で、経年劣化で徐々に酸化し錆びていく。撮影は一年後のもので当初茶色だったものが赤みを帯びてきている。
FLOSは光らなくても美しい
サッシ枠の収まり、床面は枠を3㎜がちにして納め、フラット化、壁面は制作から3方枠(一方グレージングチャンネル)で特注し現場でパッキンを埋めて断熱能力を下げないように施工。庇もこの景観あるピクチャーウィンドウには不要と判断した為、北側でもあり天井は枠から軒先まで逆勾配で制作してある。照明はどちらもレアなFLOS製、夜になると錆の壁をやんわりと照らしホテルライクな生活を楽しめる。
景色を楽しめる空間
北側は前面にこの借景があるため、生活の主体をこちら側に移した。ヘーベシーベは重量のある大型引き戸を気密性を損なわずにスムーズに動かすことのできるのが特徴で、前面の景観が良好な場合フレームレス化が図れるため積極的に採用したい。ただリノベーションの場合新築と違いイレギュラーな制約が発生したり採寸が後になるため導入の難易度が高くなる。そのような中で今回のような収まりを可能にするには職人の技量が重要になる。
外まで続く壁
錆塗装は室内から室外へ続き迫力満点。
家族が賑わう大テーブル
元々リビングであった場所はダイニングキッチンに。この部屋も増築。アイランドキッチンを置き大型のテーブルを備えた。引分け戸はスチール製でstudiom+オリジナル。床から天井まで2400もあり開放感抜群。娘家族の帰省にはこのテーブルがにぎやかになる。
ハンドメイドが刺激を与える
オリジナルで制作されたスチール扉は、クラフト感があり楽し気な雰囲気を生み出す、そして空間をクリエティブする。
お母様のお気に入りキッチン
キッチンはウッドワンのフレームキッチン。
サワラ無垢厚み60㎜にSUS鏡面
テーブルはサワラの無垢。檜に近い樹種で白木で上品な佇まいなのが特徴。このサイズの無垢は、なかなかなく、なんとW1000H60 L2600もある。ブラケット照明はFLOS、テーブルの3連の小型のペンダントは小泉照明のyペンダント、床素材はBOLON市松張りで床暖を設置。こちらのサッシは樹脂系の断熱複合ガラスで引き違い4枚戸となっている。
サワラのテーブルに用にデザインされたstudiom+オリジナルの脚、SUS鏡面@400でクールでラグジュアリー感を演出する。床はSTUDIOM+ではよく使われるBLONの市松張り
テレビも見れる!
奥様はこの位置が定位置だそうで、テレビを見ながら。
視界を遮る両サイドの壁
この両サイドの壁が無ければ、外部から丸見えで景色どころではなくなる。屋根は当然水勾配がついてるが軒天は逆勾配で室内から視覚に入らないよう工夫されている。
錆塗装、住まいを楽しくする仕掛け。経験上これがあるのとないのとでは、生活に与えるインパクトはかなり違う。
一文字貼りガルバ
外構部分。外壁の仕上げはガルバリウム一文字貼り。
見えてるかべはすべて取り除いた。障子の向こうに庭がある。
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